Feb 20, 2016
緑を愛でる
緑を育てられる人と育てられない人がいると思う。緑に囲まれた生活をしたいのに、どうしても枯らせしてしまうんですよね、という人は多い。かくいう私もその一人で、頂いたサボテンを枯らしてしまったときは相当に落ち込んだ。自分のできなさ加減に対し腹が立ち、枯らせてしまった草花たちに詫びた。
春になると、たくさんの新緑が芽吹き、新たな生命の輝きを目の当たりにすると、その恵みを側で感じたくて、つい手にとってしまう。そうして妄想するのだ。そこには小さな庭があって、地植えしたグリーンが勢いよく成長し、花が咲き、実をつけ、自然の力によって庭は形づくられ、そして縁側に座りながらその美しさに心奪われる・・・・なんてことは夢のまた夢。
前に明治神宮の杜をつくった森の造園家のドキュメントを見たが、何もない荒地を、50年後、100年後、150年後の森の姿を正確に予測しながら、木々の選定、配置、をおこなっていく。神宮の森は今年でちょうど100年。自然の力で美しい森に成長した。それをつくる森の造園家の人たちの熱い想いと、自然の生命力に力強い何かを感じた。
緑を育てるのに何が一番必要なのか、きっとそれは「向き合う心」なのだと思う。水が足りているか、葉は枯れてないか、虫がついているか、太陽があたっているか、葉を撫でて、葉を愛でて、葉の声を聴く。そんな心のゆとりと気持ちを、木々や草花たちは敏感に察知し、それに応えていくのであろう。緑を育てられる人になりたい。それは永遠の課題でもあり、自分が自分と向き合える時なのかもしれない。
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